明利酒類(茨城県水戸市)は、元副社長の小川知可良博士が開発した、爽やかな香りの成分であるカプロン酸エチルなどを多く造り出す小川酵母を用いて、代表銘柄である「副将軍」を生産している。
同酵母は日本醸造協会10号酵母として幅広く使用されており、10号酵母をもとに開発した、より香気成分を多く生成するM310酵母も大吟醸など高級酒向けの酵母として広く使用されるなど、自社製品だけでなく清酒業界全体の品質向上への貢献度は高い。
鑑評会で高い評価を獲得
同社は江戸時代末期に創業した加藤酒造店が前身で、1950年に茨城県や栃木県の酒造家の出資によって創立された。
小川酵母とM310酵母は、爽やかな吟醸香を生むのをはじめ、味のふくらみがあるのに酸を作ることが少ないという優れた性質を持つ。
副将軍は小川酵母の特性を生かした淡麗芳醇な日本酒で、全国新酒鑑評会で高い評価を得ているほか、同鑑評会では、M310酵母で造られた吟醸酒も数多く出品され、好成績を上げているという。
水戸黄門の故事が名前の由来
同社は1988年に、水戸市の観光拠点の一つになるようにとの思いを込めて「梅酒と酒の資料館 別春館」をオープンした。昔の酒造りの道具類を展示しているほか、明利酒類の清酒、焼酎、梅酒などを展示販売している。
別春館は、水戸藩第二代藩主の徳川光圀公(水戸黄門)が「杯の中には別の春がある」と語り、酒盛りを「別春会(べっしゅんえ)」と呼んでいたという故事に因んで命名された。
月曜日(祝日の場合は翌日)と年末年始以外は、いつでも無料で見学できる。


