井上酒造(神奈川県大井町)は、雑菌の繁殖を抑えやすい冬場に酒造りを行う「寒造り」を採用している。
冬場に酒蔵を訪問すると、醪(もろみ=発酵途中の醸造液)から日本酒を絞り出した後の固形物である「酒粕」をプレゼントしてもらえることがある。試飲も有料のところが多い中、同社は無料で対応しており、フレンドリーな酒蔵だ。
箱根のふもとで200年以上酒造りを
井上酒造は1789年の創業で、200年を超える歴史がある。当時農業を営んでいた創業者が、石につまずき、ふとその石を見ると徳利の形をしていたことから酒造りを始めたという逸話が残っている。
代表銘柄は「箱根山」。その一つ「純米大吟醸 箱根山」は、精米歩合40%の山田錦を使用したもので、 バナナのような果実香主体の芳醇な香りとふくよかな味わい、なめらかな口当たりが特徴だ。
使用している仕込み水はミネラル分がやや多い硬水で、一般的に硬水で仕込んだ日本酒はしっかりとした厚みのある飲み口となる。
珍しい黒粕
酒蔵を訪問した際にプレゼントされる酒粕には表面に茶色や黒色の斑点のあるものがある。「黒粕」と言われるもので、これら斑点は酵素のチロシナーゼ とアミノ酸のチロシンの反応によって生まれる。
吟醸酒などの香りの強い日本酒を作る際に用いられる麹菌によってもたらされるもので、市場にはほとんど出回らないため現地を訪れる価値はある。
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