山本本家(京都市)は、京料理や懐石料理などの和食との相性を重視した日本酒造りに取り組んでおり、食べ物のおいしさを引き立てる食中酒を目指している。
同社が酒蔵を構える京都・伏見には質の良い伏流水が沸く七つの井戸が知られており、このうち同社が使用している「白菊水」は、鉄分が少なく、適度なミネラル分を含んでおり、ふくよかな味わいと円やかな後味などの特徴を持つ。
この水で造られた「松の翠」は、茶道流派の一つである表千家の茶事(食事やお茶のお点前を含めた正式な茶会)で使われており、懐石料理に合うよう少し辛口に仕上げてある。
懐石料理は修行僧が懐に温かい石を入れて空腹感を和らげたことから名付けられた料理で、濃厚なお茶を美味しく感じられるよう、軽い食事としてお茶の前に出されるようになったという。
食中酒を極めるため鶏料理店を開業
同社は1976年に京都・四条木屋町の「鳥せゑ」と共同で、敷地内にある酒蔵を改装した鶏料理店「鳥せい本店」を開業した。
食中酒を極めるための取り組みの一環で、店内には京都伏見の雰囲気が漂っており、ここでしか味わえない「蔵出し生原酒」のほか、新酒の季節限定の「たれ口」、純米大吟醸「松の翠」などの商品をそろえている。
「鳥せい本店」の隣には直売店もあり、通常の商品はもちろん、蔵限定酒や酒粕、煎り酒などのオリジナル商品が置いてあり、試飲を楽しむことができる。