「だまされたと思って飲んでみて」。若者の日本酒離れが言われるようになって久しい。著者はそうした状況を憂い、このように呼びかける。一度でも飲んでみると「日本酒好きにしてみせる」と自信満々だ。
本書が書かれたのは2001年。2015年に改訂された後も、版を重ねており、まさに若者向けの入門書として支持されているようだ。
本書ではまず、温めてこそ酒の旨みが見えてくると、燗酒を奨める。入口としては、いきなりのハイレベルのように思えるが、クリームコロッケやチーズとの組み合わせてを紹介しており、若者受けしそうな内容でもある。
続いては純米酒の薦めだ。純米酒は日本酒の始まりであり究極でもあるとして、「さりげなく長~く愛して」と訴える。
そのうえで原酒と生酒の違いや、山廃・生酛の意味、どぶろくと、にごり酒の違いなどを解説。さらに唎酒の上達方法などにも言及した。
近年日本酒の輸出が増えており、日本の若者よりも先に、海外の人たちの方が日本酒の良さに気づいたようだ。海外でヒットした日本酒が日本で流行るといった現象を目の当たりにする日がいずれ訪れるかもしれない。
尾瀬あきら著、幻冬舎刊